WORKS

ネクタイ職人の仕事

オーダーネクタイがお客様の元へ届くまで ~製造工程の中盤~

オーダーネクタイが仕上がるまでの中盤工程をご紹介しています。

④つまみ


剣先と額縁を仕上げる重要な「つまみ」工程は、わずか2センチほどの距離を縫うことで美しさが決まります。
極、細かいミシン目に設定し、90度という角度を守って縫うのは、こちらも熟練の職人の手でなければ難しいところです。
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つまみの角度で額縁の先端部分の美しさが決まる。


⑤剣先プレス・接ぎ割

大剣、小剣を表に返し、プレスします。生地ごとに、温度や蒸気の調整を行うことで、最終的な仕上がりはもちろんのこと、この後の製造工程のしやすさも左右されます。
 

表に返すときは、手作り木製目打ちが便利。綺麗に角を出すために使用します。

次に最初に接ぎをした部分をアイロンで割ります。ネクタイが仕上がったとき、縫い代がかさばってあたりがでたり、ハギ目が綺麗に見えるようにひと手間が重要です。
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⑥芯地つけ(リバー縫製) 
次に、芯地が登場します。実は、ネクタイには、見えざる重要素材、芯地が入っています。

何が重要かというと、芯地はネクタイのシェイプを決める、言わば骨格です。

この芯地の素材によって、ネクタイの耐久性、締め心地、つまり質も大きく変わるのです。
見えないですよね、ネクタイの中身。

けれど、ネクタイを日々作るわたしたち職人にとっては、重要度の高い存在です。表生地の打ち込み(一般的には、糸の打ち込みが多いほど、しっかりした上質なネクタイ生地と言えます)だけでなく芯地の打ち込みがしっかりしていたり、素材がウール100%であったりすると、ネクタイを締めて引っ張る力が加わっても形状が戻ります。芯地の厚みでも、締め心地は随分違いますし、そもそも表生地との相性もあります。

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芯地の中でも、いまや国産のものはとても貴重ですが、ネクタイ芯地の職人さんたちが積み上げてきた技術は、本当に良い風合いを生み出します。
さて、その重要素材の芯地を、ネクタイに縫い付けるにはどうするかというと、ミシンではなく
LIBA(リバー)という大型機械が登場します。

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塗装の色味もレトロで素敵だと思いませんか。実はドイツ生まれです。
LIBAの素晴らしいところは、手縫いのような波縫いをすることができる、というところです。

なぜ、ミシンで縫ってはいけないの?
そう思われますよね。
ネクタイは、伸縮が大事ですと書きました。通常、直線縫いミシンは、上糸、下糸で縫いあげ、伸縮を前提としていません。ネクタイのように、伸縮が必要なものは、ミシンで縫ってしまうと生地がつってしまったり、非常に使い心地の悪いものとなってしまうのです。
だからネクタイは、手縫いか、リバで縫製するのがとても良いのです。(実は、リバの他にも、ネクタイ用に開発されたミシンがありますが、それについてはまた別の記事で!)


リバーには、ネクタイのスタイルに合わせた「型」を使用します。

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オーダーメイドでは、スタイルが1本ずつ違うので、ここが難しいところです。
お客様のオーダーされたスタイルにあわせた型をLIBAにセットし、全長や、生地にあわせて細かな調整をしながら、1本ずつ縫い上げますから、時間と集中力を要します。

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ここまででようやく、ネクタイの半分ができた段階でしょうか。
リバで上がってきたネクタイに、共ループを付け、いよいよ表に返します。手で返したり、機械で返したり、生地によって方法を変えます。


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ネクタイらしくなってきました。


⑦芯入れ

大剣、小剣の芯を、裏地と表地の間に収めていきます。

剣先の角をあわせて芯を入れ、後にたるみ糸となるリバーの糸を同じ長さで玉止めします。同時に、ここまでの仕上がりにおかしなところはないかをチェックします。

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続いて、いよいよ仕上げ段階です。

   

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2024/07/06   cravatyukiji
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